狩猟解禁日[513/1000]
11月15日、今日は何の日か。狩猟解禁日だ。 全国の猟師たちは今日という今日を待ちわびて、いっせいに山に入る。鹿、熊、猪などの大型獣から、カモなどの鳥類とのかけひきがはじまり、早いところでは今晩から、大地を祝した新鮮な肉…
11月15日、今日は何の日か。狩猟解禁日だ。 全国の猟師たちは今日という今日を待ちわびて、いっせいに山に入る。鹿、熊、猪などの大型獣から、カモなどの鳥類とのかけひきがはじまり、早いところでは今晩から、大地を祝した新鮮な肉…
不思議だ。あんなにも世に背を向けて、山奥で隠遁生活をしたいと思っていたのに、己のなかに善意を見つけてからは、森から出たいという気持ちが高ぶってきた。 人間愛という代物は、一歩間違えて同情におぼれれば、人間を…
人間に対する善意が、いつも人間愛から生まれるならば、この人間愛の原理に従いながら、人間を否定し、人間の超越に向かわなければならないのではないか。さもなくば、生きることの動力源は暗黒で、冷たいものになりはしまいか。 &nb…
ホームレスの住居であるダンボールハウスや、ブルーシートで覆っただけの簡易的な家が、いかに最低限の労力で、最低限の機能を合理的に獲得しているか、家をつくってみて、色々感ずるところがある。 金もない。物もない。…
トーマス・マンの「魔の山」にぶつかる日々がつづく。もう一週間は経ったろうが、まだ下巻の冒頭にとどまっている。上下巻で、1500ページの長編にして、内容が濃密で、一日100ページも読み進めることがむずかしい。 西洋の民主主…
高尚をあきらめたら、貧しい暮らしは必要ない。貧しさが高尚という意味ではないが、安逸は幸福を求めるにちがいない。 一度は堕落した人間だ。幸福な暮らしを考えなかったといえば嘘になる。適当な仕事をして、愛想のいい婦人と結婚して…
人類は「文明」の力で自然を克服した。 だが、隠遁の森においては、自然の暴力を前にして、我が精神はどこにも逃げられん。服従あるのみか。それとも、ヴォルテールが地震に反抗したように、自然の残忍な仕打ちに人間の意…
「神が死んだ」とは、すなわち愛国心が死んだということではないか。もはや今日、天皇に恋慕の情を抱くことは、神を信じることと同じくらい困難であるように思う。 武士道と信仰の血が残っているのは、戦前より生きる90…
「自由」の国で堕落した。だが、当時はこれが「進歩」だと確信していた。 声高に「権利」を要求した。あの民主主義者たちのように高邁に戦った。 己を支配する「皇帝」の心臓に剣を突き立てて、血涙流して歓喜した。 親…
結婚式を控えた女性は、美しくなるという。一つ仮説を立ててみる。人間の血を浄化させるのは、生命の宇宙に迸るエネルギーではないかと。 こうした宇宙的な力の、人間を若返えらせる力というものは、地上的なあらゆる健康的俗物習慣を、…