われわれは一生退屈することはない。【インド紀行⑰】[632/1000]
インド人の女性は保守的であるというのが、旅を通しての印象だった。男に話しかけられることはあっても、女に話しかけられることはまずなかったし、伝統的なサリーに身を纏う生娘は、むやみやたらに男に話しかけることを慎しんでいるよう…
インド人の女性は保守的であるというのが、旅を通しての印象だった。男に話しかけられることはあっても、女に話しかけられることはまずなかったし、伝統的なサリーに身を纏う生娘は、むやみやたらに男に話しかけることを慎しんでいるよう…
路地裏で遊ぶ子供の声、夕焼けを旋回する小鳥の群れ、一日の足労を癒すさわやかな風に、久々の自由を感じた。思い返せば、今回の旅は重く、敬虔な顔つきで旅をすることが多かった。信仰の厚いインド、もしくは貧困と物乞いに遭遇するイン…
まだ夜が明けぬ朝の4時、昨晩宿のおやじに頼んでおいたとおり、宿の前にはトゥクトゥクが待機していた。これからデリー行きの列車に乗ろうとするとこで遅れは絶対に許されなかったが、何のトラブルもなく駅に向かえそうでひとまず安心し…
初めて見たガンジス河は、あまりにも美しかった。待望の日の出には間に合わず、陽は既に少し高くなってはいたが、波は金色に揺れていて、泥褐色の混沌は、より一層、人間の罪を洗い流す聖性を宿しているように見えた。雑踏にもまれて、朝…
美しいものを美しいと感じるには、それだけの心の素養と下地がいる。山頂からの景色が美しいのは、一点に向けて高められた登山者の忍耐と期待が世界のこまごまとした美を受け入れる感性を爆発、解放させるからである。 逆…
少し早いですが、日本に帰ることにしました。デリー、バラナシ、ブッタガヤ、カルカッタを一か月かけて横断する予定でしたが、バナラシを終着とし、再びデリーに引き返し、飛行機で帰ることになります。体調が優れないことが第一の理由で…
バラナシに到着して3日目の今日、ようやく熱が下がった。宿の親父に2泊分の精算をし、安静をとるために一泊延長することにした。2泊の金額は557ルピー(947円)である。デリーに比べると、半額で泊まれてしまうのは有難い。56…
異邦の地で発熱に見舞われるほど心細いことはない。デリーからバラナシ行きの寝台列車に乗ってすぐ、咳が急に深くなり、身体が熱を帯び始まるのが分かった。思えば、身体を壊しても無理はない。インドに来て数日であるが、毎日のように8…
慣れない土地に行くと、時間の進みは遅くなります。体感、既に一週間くらいデリーにいる気がしますが、まだ3日目の朝です。同じ3日でも、空虚に過ごす日々であれば、1日の体感に凝縮されてしまいます。旅は時間に相応の、もしくはそれ…
巷ではインドは三大うざい国と言われている。しかし、今日の僕は、これがいかに物質主義に傾倒した見方であるかを思い知っている。今僕は、涙が溢れて仕方がない。インドという国の見方の内外が、ついに反転したのだ。仮にもインドに来て…