なぜ人間として生まれて来たのか。[205/1000]

なぜ人間として生まれて来たのか。この問いに霊長としての役割を授けるのなら、水平的ではなく垂直的に生き、自然の法と一体となるために生まれてきたといえる。心が宇宙エネルギーと肉体の摩擦の中に生じる現象だとするならば、心がいいと感じるものと心が悪いと感じるもののそれぞれは、宇宙エネルギーの性質そのものであるといえる。中村天風は、これを宇宙霊の心といった。心というものは肉体との摩擦の中に生じるものだから、宇宙霊の「心」というのはあくまで比喩だろう。人間のように肉体摩擦が生じない以上、人間の心とは現象上同一ではないが、エネルギーの性質を見れば、両者は同じであり宇宙霊の心は肉体の制限を受けない以上どこまでも純粋で、公平で、一つある。この純粋を畏れ多く思う人間は信仰に生きた。信仰とは水平的な肉体を、垂直的なエネルギーで覆い尽くすことである。あらゆる宗教は自然の法を身に宿すことを教えているように思う。宗教ではないが、宗教と同列に捉えられた武士道もそうであった。義や勇や誠に生き、名誉の為に切腹までしたのは、人間の身でありながら、宇宙霊として存在していたからだ。

 

 

造物主の心とは「真」「善」「美」である。 「真」「善」「美」をもっとわかりやすくいえば、「真」とは「誠」である。「誠」とは一点の嘘偽りもないことが「誠」である。筋道が少しも乱れてないのが「誠」である。 「善」とは「愛情」のことである。 「美」とは「調和」のことである。

中村天風. 運命を拓く (講談社文庫)

 

宇宙エネルギーと肉体の摩擦によって生じるものが心であり、心の性質は本源である宇宙エネルギーと同じであると考えるならば、心の感じ方を通じて宇宙の「意志」のようなものが見えてくる。心がいいと感じることは宇宙が望むことであり、心が悪いと感じることは宇宙が望まないことである。人を愛し愛されることを心が望むなら宇宙エネルギーは愛である。勇気をもって行動することで心が歓ぶなら宇宙エネルギーは勇である。

中村天風はこの宇宙霊の心を、「真」「善」「美」といった。ここについては個の人間の体験と心の感じ方に基づく言葉に過ぎないため、表現のされ方は第二であるように思う。新渡戸稲造の武士道では、武士の徳目として「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」があげられているが、これが指すものも同じ宇宙エネルギーである。しかし武士道に生きた人間は、言葉になった新渡戸稲造の教典を読んで武士道を実践したのではなく、日々の体験に美しさを見つけ、美しさを貫くための実践していた。宗教が異なれば言葉も変わるが、心が感じることがあって、言葉はすべて後付けである。伝達の手段として言葉で表現はされるものの、個人の体験の中において心が歓ぶことの実践がピュアな原形である。

 

 

宇宙霊はミクスチャーなエネルギーだと思う。新渡戸稲造の武士道の中でも、義を見てせざるは勇無きなり、勇が最高点に達すると仁になる、というように各徳目は個別分離されたものではなく繋がっているものだと言われていた。過去の体験を思い返してみても、勇気をもって行動した後に愛を感じることや、元気になった体験をした人もいると思う。どこからどこまでが愛で、どこからどこまでが勇でというのは難しく、ミクスチャーのエネルギーが体内に流れ込む過程で「元気」になり、その表現として愛や勇や礼や誠みたいなものがあるのではないかと思う。さらにそれが形式となったものが文化であり宗教なんじゃないかな。だから土地土地の文化は、土地土地の人間が膨大な歴史の中で築き上げた、宇宙エネルギーを人間実践した集大成なんだと思う。武士道や騎士道がそうであった。まるで人間が霊長として宇宙から遣わされた役割を、忠実に完遂しきったようである。そう思うとなんともいえない荘厳な気持ちになる。

精神修養 #116 (2h/239h)

心の向きが後ろ向きであれば、宇宙霊(暗黒流体、気、自然の法)は体内に流入した後、後ろ向きに作用する。車のギアがリターンに入っているようなものだろうか。同じガソリンを使っていても、ギアがリターンに入っていれば後ろにしか進まない。

 

[夕の瞑想]

・顕在意識と潜在意識のうち、潜在意識が宇宙霊と結びついていると、中村天風は言った。

・それが思い出され、顕在意識をひたすら観察することを心掛ける。見つめるべき対象が明確になったおかげかいつも以上に観察できる。

・顕在意識の言葉によって潜在意識が同化される感覚を感じていた。

・生じる思考を眺めていることで、顕在意識下の消極的思考は流れ、潜在意識の考えていることが表層化する感覚があった。

・潜在意識の考えは身体に生じている感覚と繋がっている。胸の痛みなど。

・自分の内に発せられる言葉が、積極的か消極的かを認める場が瞑想における一つの働きか

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