どうでもいいことに溢れた世界[343/1000]

生きてさえいれば、他はどうでもいいというが、

ほんとうは生きていることさえ、どうでもいいのではないか。

長老は知恵者であるが、長生きは終点にあらず、

健康は有難いが、人間は病である。

美食も飽食も家族を幸せにするが、

食うことなど、三日三晩忘れていたい。

柔らかな布団は、疲弊した身体を癒すが、

命を祝福するのは、月に照らされた草枕。

女への欲望すら跳ねのけて、

真に欲するものの純恋を歌い、

どうでもいいあらゆる卑猥なものを、

一刀両断するのは悪の力だ。

感謝も笑顔も安心も蹴とばして、

その矛は宇宙の深淵を突き刺そうと願う。

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