何億回、何兆回という瞬間を突き破り、どこまでも運んで行ってくれ。[873/1000]

あの永遠の苦行と思われた、穴掘りと砕石埋めも、気づけばすべてが終わっていた。気づけば、森にうつくしいヒノキの角材が運びこまれ、何ともいえぬ感動におそわれた。まったく、”自分で”時を歩んでいる認識を持ちながら、動いているのは時のほうで、その瞬間、瞬間に、懸命に生命を燃やしていれば、気づけばずっと遠くに運ばれている。

時に対する絶対的な信頼を体験するなら、もう先のことは考えなくてもよいことを知る。あしたのことで悲しむ必要も、あさってのことを不安に思う必要もなく、今日の課題だけに精一杯取り組んでいれば、時がすべてを完成させていく。

 

いよいよ、あしたから、ヒノキの木をあてがいながら、基礎石を水平に設置していく。基礎石が設置できれば、土台を組み、土台ができれば床を張る。そして…そして……、と先々のことを考えてしまうと、焦りが生まれたり、不安や緊張で心が落ち着かなくなるのだから、まずは目の前の課題だけにぶつかっていけばよろしい。

時に、あとは委ねる。何億回、何兆回という瞬間を突き破り、どこまでもどこまでも、運んで行ってくれ。

 

2024.11.9