虚無について[336/1000]
神というのはまことに狡猾な発明で、人間の知りえたことの九十パーセントは人間のために残しておき、のこりの十パーセントを神という管理者に委ねて、その外側の厖大(ぼうだい)な虚無とのつなぎ目を、管理者の手の内でぼかしておいても…
神というのはまことに狡猾な発明で、人間の知りえたことの九十パーセントは人間のために残しておき、のこりの十パーセントを神という管理者に委ねて、その外側の厖大(ぼうだい)な虚無とのつなぎ目を、管理者の手の内でぼかしておいても…
己を生に縛りつけるものを一つずつ捨ててゆけ。 人間であることを忘れさせるような、 俗塵にまみれた快楽の虜になる肉体が嘆かわしい。 倦怠の正体は善人であるという悪魔のような発想も いつしか鼓動となって心臓を病ませる。 破壊…
仕事をやめるか、やめないか。迷うのは、どちらの選択も真実を含んでいるからだ。やめるも正しく、やめないも正しい。真実を求める心が、どちらにも正義を与えるから、迷う。 勢力が一方的である場合は楽である。己に打ち克つと同時に、…
ゆらゆらと揺らぐ。宇宙の果てをさまよう魂。 地面から伸びる穢れた手が、この両足を引き留める。 憧れの放射をたどるその眼は、静かな絶望をしたためて。 脆弱に跳ね返されるたび、光は細い線となるが、 一層鋭さを帯…
このくそつまらない人生を燃やし尽くせないか。ちり紙同然に燃えて、灰はすべて風に飛ばされよ。 男は女にためになら、女は男のためになら堕ちきることができるのかもしれない。悪への快楽か。生命の渇望か。それとも恋か。体操着が盗ま…
仕事を辞めるか辞めないかを悩み始めたら、もう結末は見えていて、あとは時間の問題なんだろうと思う。私は凡人にも満たないこの悩みを、いまだ心に住まわせており、辞めたら辞めたで、今度は金に困るし、罪の意識に孤立もするのだろうと…
5年前に抱いた憧れをようやく形にしようとしているのに、心は踊るどころか怯えている。とりあえず森を手にしたものの、そもそも本当に家を建てられるのか自分でも知らないのだ。昨日、ホームセンターで、どのクギを選べばいいのか種類す…
森の契約は交わされた。近日中に、金を支払うことになる。最後の最後まで、葛藤していた。「この森でいいか」という葛藤ではなく、「この人生でいいか」という葛藤だった。金が大きくなるほど、使い道も広がる。世界のあちこちを旅をする…
堕ちることについて、日々想うなかで、漠然としたひとつの理想のようなものが生まれた。それは、聖書を抱えながら、奈落の闇に堕ちていくというものであった。必ず聖書を携えてなければならない。聖書でなく、葉隠や般若心経でもいいが、…
数年前「惡の華」という漫画を初めて読んだとき、生命が震撼する感覚をおぼえた。当時は、この感覚の正体が何者か分からぬまま、ただとんでもないものに触れてしまったショックだけがあった。これのアニメを観て、もう一度あの時の衝撃が…