無事、棟上げを終えた。[901/1000]

無事、棟上げを終えることができた。自分一人でやったと誇りたいところだが、実際は父と母に手伝ってもらった。いまだに親の手を借りなければ、小屋の一つも建てることができぬ。早く一人前に生活を築き、親を安心させてやらねばならぬというのに、まったく恥ずかしいかぎりである。だがお陰で、柱は立ち上がった。だれかに支えてもらうだけで、作業はずっと安定し、いい精度を出すことができる。その点、内心すごくほっとしている。

 

小屋づくりにおいて、土台を築くことが、最序盤にして最重要であった。土台を築いたあとは、柱となる三角軸を組むことと、立ち上げることが技術的な難所であった。二つの峠を越えた今、怖いものは何もなくなった。高所作業には危険が伴うが、4メートルのハシゴをかければ、安定した作業ができる。窓やドア、ロフト部分などの細かい加工は、気合でなんとかする。(実際、これまでの大半が気合でなんとかなっている。)

 

こたびの家づくりで学んだことは、”休むこと”の生産性であった。だいじにだいじに加工してきた木材を、ほんの一瞬、気を緩めたところで、台無しにしてしまうことが何度もあった。ずっと作業をした日の夕刻、気を緩めたときに有事が起きる。加工ミスだけならまだしも、高所から落ちて怪我をするなんてことがあったら馬鹿らしい。大工さんは、昼休みのほかにも、10時と15時には必ず休むという。休むことの生産性が、理にかなっていることを、よくよく学んだのである。

 

それにしても、棟上げを無事に終えられて、ほんとうに嬉しいかぎりだ。明日から、家づくりは後半にさしかかる。雪舞う真っただ中を、金槌の音で響かせよう。

 

2024.12.8