形姿を保ち続けることが永遠ではなく、死に還るその先に永遠がある。[882/1000]

朝陽が顔出してから山の向こうに沈むまで、ひたすら家づくりをしている。

今日はすべての束柱を焼き終えた。元々の無垢な状態(土台)と比べると、随分と黒くなったことが分かる。炭化した部分は、雨や陽ざしを物理的に遮断し木材を守る。同時に酸素や水とも反応しづらく、腐敗菌や白蟻からも木材を守ることができる。ほんとうはもう少し焼いて、炭化層を形成したほうが効果は確実に期待できるが、あまり焼きすぎると木がひび割れて耐久度に不安が出てくる。10年後、20年後、仮に束柱が駄目になれば交換すればいいので、この状態で進めようと思う。

 

束柱の上に土台を仮置きした。縦3300mm横3000mmなので、対角は4460mmになる。対角を測ることで、土台が歪んでいないか確認する。明日は、土台に欠きをつくり、”大入れ継ぎ”で大引きを接合する。土台部分も「焼き土台」にしたいが、3メートルの材をすべて燃やすのは、バーナーがないかぎり難しい。そこで柿渋を塗ることにする。ここでもあくまで、伝統と素朴にこだわる。柿渋は柿を発酵させてつくる、伝統的な自然素材であり、柿渋に含まれるタンニンに防水、防湿効果がある。人工塗料と違って手入れは必要になるが、手入れが必要ならば、年に一度塗り直せばよい。プラスチックのように形姿を保ち続けることが永遠なのではなく、死に還るその先に永遠がある。死に燃えていくための家であることを心に留めておく。

 

2024.11.18