命が縦にも横にも繋がる瞬間は仕合せであった。[196/1000]
小学生くらいの頃は正月が一年でいちばん大きな楽しみで、正月が過ぎれば次の正月はまた一年後か、と思うくらい正月を楽しみに生きていた。それほど正月が好きだった理由を今言葉にしてみると、正月が垂直性のある時間だからだった。祖父…
小学生くらいの頃は正月が一年でいちばん大きな楽しみで、正月が過ぎれば次の正月はまた一年後か、と思うくらい正月を楽しみに生きていた。それほど正月が好きだった理由を今言葉にしてみると、正月が垂直性のある時間だからだった。祖父…
明けましておめでとう。 原付を5分ほど走らせ、山へ行き、お天道様を拝むことにした。朝5時半。山頂には、初日の出を見ようと既に人が何人かいた。隅の方の地べたに腰を下ろし、魔法瓶に入れてきた白湯をちょびちょび飲みながら、日の…
今年が静かに終わろうとしている。 朝、上裸になって庭に出ると少しヒンヤリとしたが、耐えられないほどの寒さではなかった。庭の水道をひねって風呂場から持ってきた洗面器に水を汲み、後ろの首元めがけて水をぶっかける。これを三度繰…
母に頼まれ、3日がかりでつくっていた物置小屋が完成した。これでひとまず落ち着いた年末を迎えられると思いたいところだが、明日から塀づくりが始まる。自分の時間はないが、自分を奉げる時間はある。こうして身を捧げていると、長いこ…
古風を好む今は、畳の上でこたつに入り、みかんでも食べながら静かな正月を過ごしたいと思うが、母はイギリスに強い憧れをもっており、実家は西洋風で畳はない。ガーデニングを趣味とする母が、庭にオブジェになるような物置小屋と隣家と…
こうなることは分かっていた。最低限の物と最小限の便利さの中で生きていると、必要以上に物を持つことや、必要以上に快適な場所で暮らすことに居心地の悪さをおぼえるようになる。肉体は楽ではあるが、物が増え、便利になるほどに、魂が…
2日経っても教会で世話になった女性のことも、教会で過ごした崇高な時間もまだ心に残り続けている。神を自分の身に宿し、神と共に生きることはどれほど心強いことなのだろう。 女性はキリストの肉体を意味するパンを幸せ…
神との繋がりは、一対一でしか生まれないものだと思う。神社に行っても、必ず目を閉じ一人になって神に拝む。一人でなければ集中などできない。隣で人に話しかけ話しかけられるような状況においては祈りの純度は低くなる。祈りはいつも孤…
メリークリスマス。昨晩、諏訪湖沿いにある教会のミサに参加した。クリスチャンになるわけではない。純粋で透明なものに触れたいという気持ちだった。世界が水平的なもので溢れかえる中、垂直性のある信仰の場は貴重である。魂について多…
真っ白なまだ誰にも踏まれていないこの雪のようにただ透明でいたい。一杯の白湯の温もりに心が還っていく。世界に光が照らされる前の、薄暗い諏訪湖の畔をしばらく歩いた後、かじかんだ手を白湯を注いだ陶器で温める。こんな日々もいよい…