もし自分の仮に享けた人間の肉体でそこに到達できなくても、どうしてそこへ到達できない筈があろうか[454/1000]
秋の涼しさを感じたと思えば、まだまだ残暑が厳しい。森の家づくりはラストスパートに入っており、床の張りつけがすべて終わり、本棚もつくりおえた。理想には遠く及ばないものの、どちらも良い味がある。床はパレットの廃材をばらして、…
秋の涼しさを感じたと思えば、まだまだ残暑が厳しい。森の家づくりはラストスパートに入っており、床の張りつけがすべて終わり、本棚もつくりおえた。理想には遠く及ばないものの、どちらも良い味がある。床はパレットの廃材をばらして、…
不倫の不徳を犯し、あまたの非難を背に社会から弾かれるように山で狩猟生活をはじめた男がいる。どうやらこの男は読書家のようで、三島由紀夫の葉隠入門も読んでいる。不倫の道徳を問えば、当然悪にちがいなく、してはならぬことであるし…
生命が幸福の渦に飲まれることを怖れて、長いこと幸福を退けてきたが、昨日も書いたとおり、それをする必要がないと分かってからは、少しは幸福というものを受け入れられるようになってきた。森に家をつくるという5年越しの憧れを形にす…
この世界には、自分が幸せになることに罪悪感をおぼえる人間がいる。そんな人間に対し、現代の社会は「幸せになってもいいんだよ」と優しく語りかける。ほんとうに優しい。たしかに優しい。しかし、いかにも幸せになることに罪悪感を抱え…
平安、鎌倉時代に鴨長明は隠者として生きた。遁世し、人々から忘れられ、友といえば近所に住む10歳くらいの少年だったという。現世の人間からは死んだも同然に忘れられたが、こうして900年後の人間にも覚えられているのは、いかにも…
爽やかな秋晴れである。葉が色づくにはもう少し秋が深まる必要があるが、陽に照らされ金色を放っていた森の葉っぱたちが、哀愁の色を見せてくれるのが、今から楽しみでならない。先日、試しに薪ストーブに火をいれてみた。ホンマ製の1万…
愛してくれる人がいなくなれば、いつ死んでもいいと思えるが、愛してくれる人がいるかぎりは、ちゃんと生きなければと思う。ちゃんと生きなければと思えるかぎり幸せな証拠であり、いつ死んでもいいと思えてしまうことは不幸で悲しいこと…
両親が森にやってきた。それなりに格好のついている家をみて、開口一番、驚きの声があがる。私はすまし顔で、大したことないとクールに言いながら、当初の目的は見事はたされ、ささやかな達成感に包まれた。 父はいつも私に再会すると、…
両親が森にやってくる。こんな不便で野性的なところには来てほしくないというのが子の本音であるが、気づけば勝手に自分たちの宿を予約して、旅程をきめてしまっていた。ただでさえ親不孝な生き方をしている私は「来るな」とも言えず、そ…
逃げよう、罪の意識に殺られる前に。否、逃げたら永遠に追ってくる。罪の意識は、こちらから立ち向かっていき、食ってしまうしかないのだ。自分がタブー視しているようなことでも、平然と笑って破っていく人間は、幾たびも罪の意識を乗り…