教会をもたない日本人は家族を失ったとき孤立する②[420/1000]
孤立と孤独は似ているものとして扱われ、その定義もあいまいなものであることが多いが、これは現代の物質主義が、垂直方向の感度を失い、水平方向でしかものをみられなくなったからである。孤立と孤独は、神は存在するか否かを問題の本質…
孤立と孤独は似ているものとして扱われ、その定義もあいまいなものであることが多いが、これは現代の物質主義が、垂直方向の感度を失い、水平方向でしかものをみられなくなったからである。孤立と孤独は、神は存在するか否かを問題の本質…
どこに行っても、家族連れの客がにぎわうのをみると、お盆なのだなと感じる。家族連れの面々はとても幸せそうで、やっぱり日本人の心の底には家族の温もりが流れていると感じる。私は実家に帰ることもなく、一人森にこもって家づくりに奮…
すべてを失うことで、すべてを得る。いちばんよろしくないのは、少しだけもっている状態である。少しを失うことが怖ろしくて、前にも後ろにもすすめなくなる。日々、持ち金が底を尽きようとする私は、こう考えることで精神衛生を保とうと…
未来に対する幻影、くりかえしや再生に対する幻影を完全に打ち砕かれて、人間が自分の存在の、芸術作品のような一回性に自足すること。そのとき人間どもは、憧憬や渇望を離れ、美しい終曲となり、つまり、今よりはよほど我慢できる存在に…
夜中にふと目が覚めて、眠れなくなる夜もある。鴨長明は、夜中にふと目が覚めたときは、囲炉裏のなかをかきまわして、まだほのかに温かい炭火を楽しんでいたらしい。なんとも贅沢な夜である。 私はというものの、森のなかで暮らしている…
型にはまらないという型にはまることは、度々起こりうる。型にはまりつづける強さを持たない。しかし、型にはまらなければ生きていけない。そんな弱さと弱さの狭間に、型にはまらないという型にはまる、という現象がおきる。言うまでもな…
現世はたしかに地獄かもしれないが、地獄だと思って地獄を生きるより、天国だと思って地獄を生きてみないか。 ハンモックに揺れる私に、吹き抜ける風が爽やかにささやく。あれほど神経を逆なでした蚊は一匹もおらず、葉音はさざ波のよう…
どんな人にも、大なり小なり波というものはあるであろうが、悪循環から抜け出せなくなるときほど苦しいものはない。気を弱くすると邪気が体内に入り込み、体を蝕み始める。大蛇の猛毒がゆっくりと全身をめぐるように、なんとなく気を緩め…
「魂とは肉体を拒絶するなにかである」とアランは言う。私はこの定義によって、魂の崇高さと厳かな美しさに、ほんのわずかであるが近づくことができたと実感する。 日々、私の肉体は拒絶され、その耐えがたい苦しさに魂から逃避しようと…
男を真に男にするのは、女であろうか。 ある人は、いい男によっていい女となり、いい女によっていい男になるといった。よく、恋をする女性は綺麗になるといわれるのは、その典型であろうか。男にしても、情けなく恥をかくような振る舞い…