自分を赦せるのは自分よりも大きな存在である[593/1000]
世間の目は騙せても、己の目は誤魔化せない。己の聡明な目だけが、己のうちに存在する神を知る。ゆえに、神を忘れるために馬鹿になる。己を欺くことに対する罪悪とは、自分のために生じるものではない。神を欺いていると自覚するから、罪…
世間の目は騙せても、己の目は誤魔化せない。己の聡明な目だけが、己のうちに存在する神を知る。ゆえに、神を忘れるために馬鹿になる。己を欺くことに対する罪悪とは、自分のために生じるものではない。神を欺いていると自覚するから、罪…
勝者の論理を正義というのではなく、古くへと立ち返ることを正義と言えないだろうか。肉体に例えるならば末梢神経と戯れることではなく、心へと立ち返ることだ。男女の交合に例えれば、心の合一となるものが前者であり、末端の感覚器官の…
沢木耕太郎さんの「深夜特急」全6巻を読み終えた。凡庸な終わり方を想像していた私は度肝を抜かれ、思わず声を漏らしてしまった。 インドのデリーから最終目的地であるロンドンまで、1年以上かけてバスで旅するうちに、…
それにしても、旅人の相手をしてくれるのは老人と子供だけだな、とベンチに坐ったまま私は思った。観光客を相手の商売をしている人たちを除けば、いつでも、どこでも、私たち旅人の相手をしてくれるのは老人と子供なのだ。しかし、それを…
歴史上、政治とは要するに、パンを与えるいろんな方策だったが、宗教家にまさる政治家の知恵は、人間はパンだけで生きるものだという認識だった。この認識は甚だ基調で、どんなに宗教家たちが喚き立てようと、人間はこの生物学的認識の上…
人間を無力にするものは何だろう。”what makes humans impotent”のwhatとは何だろう。 「神の老衰」だろうか?私は人間がつくられた哲学を、神が自身を感じるものだと考えてい…
誕生日を祝う慣習は日本にはなかった。戦前、厳密には1949年までは「数え年」であったため、正月に皆がいっせいに歳を重ねたのだ。1949年以降も、しばらくは、以前の慣習を継承し、個人の誕生日を祝うことはなかった。気になって…
2024年1月27日。今日で「俺」は人間を30年やっていることになるらしい。 「らしい」と書くのは、時間感覚が当てにならないからである。「俺」とあえてカッコ書きにするのも、より大きな存在に成りきるためである。30年前、無…
「どこから来た」 と訊ねてくる。 「どこからだと思うか」 かつて日本の大学で古代ギリシャ語なるものを学んでいたことのある彼が、たどたどしい現代ギリシャ語で答える。とたんに、周囲で声が上がる。 「この客人はギリシャ語がわか…
異国に暮らして不自由なことはないのですか。私が訊ねると、彼は自信に満ちた口調で言った。何も不自由はしていない。なぜなら私にはテレビも必要ないし、新刊本も必要ないからだ。ただ、昔読んだ古い本を読み返していればそれでいい。 …