天に仕えることについて/仕え合わさり、仕合せ[163/1000]

法は宇宙のものであり自然である。ゆえに天を畏れ、これに仕えることをもって目的とする者のみが法を実行することができる。 天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに我々も自分を愛するように人を愛さなければならない(我を愛する心をもって人を愛すべし)

内村 鑑三; 鈴木 範久. 代表的日本人 (岩波文庫)

 

西郷隆盛のいう、天に仕えることについて。

天に仕えるとは、いかなる時も天に従順であるということ。嬉しいときも、悲しいときも、苦しいときも、怒り狂うときも、いつも一人で天を仰ぐということ。人よりも、物よりも、何よりも天を恋い慕うこと。耐え切れなくなった自分をほかで誤魔化すようなことがあれば、天に仕えていることにはならない。天に仕えるとは、天以外のものを絶ち、天に命を委ねること。つまり、水平的な世界から孤独になるということ。天とともに生き、天とともに死ぬということ。

だと思う。

 

信仰強く生きていたと思うのは、山梨の小淵沢で家なし生活をしていたときだった。地べたにマットを1枚だけ敷いて寝ていた。屋根がなかったので毎晩月を見ていた。皿洗いの仕事で疲弊していて、傷の深い日は月と語るような晩もあった。当時は、信仰について考えることはなかったが、信仰と思うのは、時間の中に透明さを感じるからだった。

 

人や物で自分を誤魔化すかわりに、天を仰ぎ、自分を律することができたらば、どんな人間も、天命を全うできる気がしている。「天」をさすものは人による。ある人はキリストで、ある人はブッタで、ある人は愛する妻で、ある人は葉隠かもしれない。

 

「仕える」といえば、自己が肥大化した現代人にとっては許しがたいことに聞こえる。自分がいちばんの存在であることが当たり前になり過ぎた。自分が絶対の地位から引きずり降ろされることを傲慢な自分は拒絶する。

 

仕えることについて、新渡戸稲造は以下のように言う。

簡単にいえば専制政治と世襲政治との違いはこうである。つまり前者では人民は不本意な服従を強いられるが、後者では「かの誇り高き従順、かの品位ある帰順、隷従の中にあってさえ、高き自由の精神を生き生きと保つ心服」(注一) によって従うのである。

新渡戸稲造. 武士道

 

仕えるとは、服従ではなく、誇り高き従順、品位ある帰順、高き自由の精神を生き生きと保つ心腹。

武士の切腹に似ていると感じた。切腹を迫られても、武士は最後には自分の意志で死を選んだ。死という究極の瞬間においても、武士は不自由ではなく自由だった。

きっと仕えることは、この感覚じゃないかな。肥大化した自己にとって理解しがたいことは変わりないが、それは決して惨めなものではなく、誇りそのものだった。

 

法は宇宙のものであり自然である。ゆえに天を畏れ、これに仕えることをもって目的とする者のみが法を実行することができる。 天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに我々も自分を愛するように人を愛さなければならない(我を愛する心をもって人を愛すべし)

内村 鑑三; 鈴木 範久. 代表的日本人 (岩波文庫)

 

仕合せという言葉が、仕えるという字が使われているのは、仕えて合わさること(一点になること)を言っているのかもしれない。

 

精神修養 #73 (2h/154h)

第一段階は、呼吸に集中し、自己の輪郭を掴むこと。

第二段階は、自己の輪郭の外側に法を纏うこと。

第三段階は、法の圧力を高め、自己との一体(点)を目指すこと。

 

と仮説を立てたものの、自己の輪郭を掴むことさえ苦労する。宇宙から自分を点に導くものが法だとしたら、内側から自分を燃やし尽くすのが葉隠のいう忍び恋だったのではないかと思う。だから恋は「燃える」という。

新渡戸稲造は「武士道」にて、座禅と瞑想の目的は「あらゆる現象の根底にある原理について、究極においては『絶対』そのものを悟り、その『絶対』と自分を調和させることである。」といった。これは第三段階の点を指すものではないだろうか。

 

[夕の瞑想]

自分を滅することが正しいこととも、自分を滅することができるとも思えない。

純粋な信仰心を持つ人間は、法を纏うことにより、自分という存在を小さく凝縮する。それゆえ、自覚されることすらない謙虚さが生まれるのではないか。

純粋な一点を極めたとき自分は点となり法と一体化する。自分という存在は、法を失えば、無秩序に肥大化し傲慢になる一方だが、法によって制することができれば、この生まれ持った力は運命を切り開く原動力となる。

【0円で生きていける拠点づくり】

森の中に瞑想小屋を建て、家を開放するのが直近にやりたいことです。

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