サンタは存在する。[916/1000]

心の貧しい人々は、幸いである、天の国はその人たちのものである。

悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。

義に飢え渇く人々は、幸いである。その人たちは満たされる。

わたしのためにののしられ、迫害され、身に覚えのないことであらゆる悪口を浴びせられるとき、あなたがたは幸いである。喜びなさい。大いに喜びなさい。天には大きな報いがある。

マタイによる福音書5.3-5.11

街はクリスマスムードに盛り上がっている頃合いだ。クリスマスソングが流れ、子どもたちはサンタクロースからプレゼントを貰う日を楽しみにしている。サンタクロースは存在する。物質社会に染まれば信じられなくなることだが、永遠に思いを馳せれば、精霊の形としてサンタが存在していることはすぐに感じられる。サンタは子供にとっての夢であるが、大人にとっても同様に夢である。大人がサンタの存在を信じられなくなるのは、物質社会の洗礼にすぎない。大人になるにつれ、眼の霞がしだいに取れ、人生が日常性に支配されていくと、サンタが存在するなんて恥ずかしくて言うこともできなくなる。次第にそれが常識となる。

だが、心の何処かで信じてはいまいか。クリスマスの寒い夜、ふと見上げた空に、星々が輝いている。その間を縫うように、サンタは駆け抜けている。そんな幻想に、孤独な心が温められるならば、それこそがサンタの贈り物である。必ずしもプレゼントが物であるはずがない。あれは象徴しての物語にすぎない。心躍るもの、慰めるもの、励ますもの、叱咤するもの、そのすべてがサンタの贈り物である。孤独なクリスマスに凍える人々もまた幸いなのだ。サンタがその人たちを大いに温めるのだから。

 

2024.12.23