つまらぬ虚勢であることは認める。だが、男たるもの、常に飢えているくらいがちょうどいい。常に凍えているくらいがちょうどいい。傷だらけの身体で痛みに悶えながら、獣のような鋭い目つきで、天を睨みつけるくらいがちょうどいい。空っぽのまま、捨て身になるくらいがちょうどいい。愛することを知らないくらいがちょうどいい。
寒空の曠野に、自分を捨て去ることしか知らぬから、それを見かねた大地の母が、温かな手を差し伸べてくれる。男にとって愛情は、擦り減り、汚れ、渇き、限界を迎えてぶっ倒れた砂漠に、降り注ぐ慈雨である。寒空さまよう野良犬の、天を流れるうつくしい星々である。満たされた心から溢れ出るゆとりのようなものが愛ではない。男にとって大事なものは、いつも限界のさきにある。
2024.11.5