幸福の毒性を誰が信じよう。おれには人のオーラなんぞ見えないはずだが、くすんだ色合いはよく分かる。色の混ぜ過ぎ、これは虚飾。実際、女手一つで子を育てる貧しい暮らしぶりの母よりも、ある程度、金を持った”進歩人気取り”のほうが、ずっと程度は酷い。清貧なんて言葉はもはや死語だが、かつて誰の眼にも美しく映ったのは、貧しいながら、内側に熱い情熱を秘めた、透明感ある暮らしぶりではないか。ツァラトゥストラが嘔吐、嘔吐と連呼したものを、魂はどんどん吐き出すしかない。気持ちの悪いものは吐き出して、ほんとうに魂の糧になるものを取り込むしかない。情熱を腐らせぬよう、霊気を挫かれぬよう。
2024.10.14