全部食い、全部飲み込み、全部やる[853/1000]
こうしてまた一つ、罪を抱える。人を辱める言動をした後、己は必ず後悔するのだ。正しさの問題ではない。そこを論点にするのは、物質主義者のやり口じゃないか。ならば何の問題か。小人の道徳。八方美人のお化粧が、崩れたことを嘆くのか…
こうしてまた一つ、罪を抱える。人を辱める言動をした後、己は必ず後悔するのだ。正しさの問題ではない。そこを論点にするのは、物質主義者のやり口じゃないか。ならば何の問題か。小人の道徳。八方美人のお化粧が、崩れたことを嘆くのか…
わが友よ、のがれなさい、あなたの孤独のなかへ!あなたは、いわゆる世の偉人どものひきおこす喧噪によって、耳をつぶされ、また世の小人どもの毒をもった針によって、刺されつづけているではないか? 森と岩とは、気品にみちた沈黙をも…
人間は死に場所を求める存在である。生という不安定な海に漂う”自分”という存在を、安定させるには死に向かうしかない。その最も身近な手段が労働である。われわれは、組織に身を捧げることによって、自己から…
物質主義の世の中では、労働(時間)の対価として賃金が支払われる。両者の関係は対等に成立しているようにみえるが、われわれの存在本質がエネルギーであることを思い出せば、物質だけで関係を語ることが未完であることに気づく。たとえ…
採石場で、軽トラ一杯の砕石をもらってきた。これを、土台を乗せる基礎石の下に埋める。40センチ四方、深さ70センチの穴に入れて、30センチごとに転圧していく。 軽トラでもらってきた砕石の3分の1を使って、ようやく穴一つを完…
ついに肉体も限界を迎えたか。肚の気力が雲散霧消し、身体が激しく眠りを要求している。昨日、早朝から働き通しで、家づくりに使う束石を十個ほど運搬していたところ、私の運転する軽トラが遅かったために、後続車に煽られた。その瞬間、…
幸福の毒性を誰が信じよう。おれには人のオーラなんぞ見えないはずだが、くすんだ色合いはよく分かる。色の混ぜ過ぎ、これは虚飾。実際、女手一つで子を育てる貧しい暮らしぶりの母よりも、ある程度、金を持った”進歩人気取…
労働にいそしむ日がつづく。森の家づくりも基礎工事にはいった。穴掘り、砕石運び、転圧、家づくりのなかで最も過酷な場面である。玄米と野菜、それから肉をしっかり食って精を養う。肉体労働者にとって食事は命である。一日一食しか食わ…
哀しみが宇宙にこだまする。そのすぐ下を、ひとの笑いが颯爽と駆け抜ける。他愛もない友との会話も、せんじ詰めれば、われらの故郷に想いを馳せるためにある。現世で遭遇した光の数々と、脳髄の記憶が流れゆく先に。可笑しな日常を笑い合…
森に珍客が訪れる。木霊が静まり返る闇に、一点の火が灯った。火を囲って踊ろうか。酒を飲んで語ろうか。たいそうな肉をご馳走になり、痩せ細った身体は久々の糧をえる。 おれたちは何に酔い痴れる。自然を克服したことを自らに言い聞か…