死神に憑りつかれそうになってもランボオによって跳ね返す。[978/1000]

まだまだ前夜だ。流れ入る生気とまことの恩情とは、すべて受けよう。暁が来たら俺たちは、燃え上がる忍辱の鎧を着て、光かがやく街々に入ろう。

ランボオ「地獄の季節」

履歴書に書き並べられた文字列が何とも惨たらしい。こんな紙切れを見て人間の何を知ることができるのだ。そう悪態はついても自業自得。これまでのツケを支払わされるときを甘んじて受けるしかない。清廉潔白な社会にとって俺はあまりにも汚らわしい。だが俺からすればあんたらの魂のほうがよっぽど不潔だと、品のない女亭主を見て思う。もっとも自分をますます惨めにするだけだが。

金が底を尽きる怖れに屈するまいと気負うほど、眼つきがますます獰猛に窶れゆく。窶れるにも様々な形があるのだ。無力に窶れた顔は青白くまるで病人だ。彼は太陽に当たれば、少しずつ良くなる。堕落に窶れた人間は悪人面となる。一歩間違えれば犯罪者、信仰が頼みの綱である。寠れる点ではどちらも苦しい。友や親に見せられる顔でもない。寄る辺のない孤独に堕ちるが、深淵にあるほど神の言葉は眩しく光る。

森に家ができたといっても、以前と何も変わっていない。小鳥のような優美な生活をおくるどころか、痩せこけた野良犬のまま寒空を這っている気分だ。玄米にバターと醤油を落としてここ数日は凌いでいる。食えているのだから、野良犬よりかましである。最近は毎日ランボオを読む。ランボオの存在に救われる。死神に憑りつかれそうになってもランボオによって跳ね返す。今日の人間とは比べものにならぬほど、逆境を負ってきた過去の魂と相対すれば、目先のことなどどうとでもなる。信念を固く揺らぎないものにするために、永遠の風に毎日触れていよう。

 

2025.2.23