涸渇感を愛す
奈落のどん底に突き落としてくれるものを愛す
己は人間のクズだと突き放してくれるものを愛す
天狗のように伸びた鼻をへし折ってくれるものを愛す
ケチくさい自尊心をずたずたに引き裂いてくれるものを愛す
涸渇感を愛す
己に足りないものは血だ
満たされた肉体の中で、魂は傷に渇いている
傷なきところに人類の背骨は立たないだろう
ああ、血よ、魂よ
己を奈落のさらなる向こうへ突き落せ
真の孤独のなかで死なせてくれ
【書物の海 #32】地獄の季節, ランボオ
かつては、もし俺の記憶が確かならば、俺の生活は宴であった、
誰の心も開き、酒という酒はことごとく流れ出た宴であった。
ある夜、俺は『美』を膝の上に坐らせた。―苦々しい奴だと思った―俺は思いっきり毒づいてやった。
俺は正義に対して武装した。
俺は逃げた。ああ、魔女よ、悲惨よ、憎しみよ、俺の宝が託されたのは貴様らだ。
俺はとうとう人間の望みという望みを、俺の精神の裡に、悶絶させてしまったのだ。
2023.11.4
コメントを残す