ついに肉体も限界を迎えたか。肚の気力が雲散霧消し、身体が激しく眠りを要求している。昨日、早朝から働き通しで、家づくりに使う束石を十個ほど運搬していたところ、私の運転する軽トラが遅かったために、後続車に煽られた。その瞬間、全く疲れ知らずであったにもかかわらず、この数日の疲れにどっと襲われた。気の波長が乱れ、その隙間から邪気が浸食してくるようだった。
われわれは常に、気圧に晒されている。肉体がぺしゃんこにならず、形を維持できているのは、肉体の内側から気圧に対抗する力が働いているからである。気持ちにしても同じである。気持ちに張り合いがなくなれば、外圧によって簡単に潰されてしまう。”病は気から”とは、外圧に対抗する気(エネルギー)不足をいう。気が弱まれば、身体の持ちようも弱くなり、ぺしゃんこになる。
平時、われわれの心が健康でいられるのも、外圧に対して気張ることができ、均衡が取れているからである。外圧が優勢になれば心は臆病になる。反対に、気持ちが優勢になれば、人は勇敢になる。日頃から「おれは負けんぞ」と、気を強く持つことは何よりの精神修養である。
どっと疲れを被っても、「こんなところで負けてなるものか」と思い起こせば、すぐに疲れを吹き飛ばすことができる。成熟した精神は、そもそもの器量が大きいのだが、それに加えて、負けてなるものかと思い起こしたときに、すぐ気持ちを立て戻せる者をいう。
実際、気張ることにはそれだけの即効性がある。これは日頃から修養を心掛けていれば、すぐに体感できるようになる。今この瞬間からでも、身体に蓄積した疲労感は、吹き飛ばすことができる。いや、今度ばかりは無理だと思っても、絶対にできる。そうやって少しずつ、精神は強くなる。
2024.10.15