小鳥の大合唱[372/1000]

朝の4時過ぎに小鳥の大合唱で目が覚める。まどろみのなかでじっと小鳥に耳を傾けて、あの鳴き声はスズメだろうかとか、ウグイスだろうかとか、はたまた何という鳥だろうかとか、違いを感じようとするのである。しばらくまどろんでいると、小鳥の声は次第に少なくなっていき少し淋しさを感じながら1日が始まるのだ。小鳥の大合唱を聴きながらずっとまどろんでいたいと、朝から怠けた気持ちも生まれているのである。小鳥は目覚めのときがいちばん賑やかであることは、森に入ってみないと知ることはない。小鳥たちから放たれる力強い大合唱は、全身の細胞1つ1つに染み入るように、気持ちよく目覚めさせてくれるのである。

 

たまに4時にもならない頃、一匹だけ早く目覚めてしまった小鳥もいるようで、そういう小鳥はしばらくの間、一匹で寂しそうに鳴いている。しかし、他の仲間たちが目ざめないと知ると、寝ぼけていた子供が再び眠りにおちるように、鳴くのをやめて静かに眠りへと戻っていく。たまたま目が覚めていた私は、ああ私と同じように悪夢でも見たのだなと憐れんで、そう思うと暗闇に響く一匹の声は、ひどく哀しく痛々しく聞こえてくるのである。森の中にいると淋しいのは、彼らの生活リズムのなかで呼吸をともにしているからである。爽やかな晴天に恵まれた朝のように、小鳥の大合唱はしあわせな気持ちになる。心を悩ませる人間がいたら、きっと森に来たらいい。

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