お前と語ったあの夜も血が湧き立つほど痛かった。[682/1000]

ああ、遂に、幸福だ、理智だ、俺は天から青空を取除いた。青空などは暗いのだ。俺は自然の光の金色の火花を散らして生きた。歓喜のあまり、俺は出来るだけ道化た、錯乱した表現を選んだ。

ランボオ「地獄の季節」

ああ、陽が沈む。真赤な山を駆け抜けて。君を連れ出そう、幸福よ。行こう。どこまでも、どこまでも。凍てつく風を裂き、黒雲を蹴り飛ばし、人間の住む世界を見渡せば、街の灯りに家族は眠る。星海を泳ぐたび、もう堕ちまいと誓えど、幸福が霊気に馴染むには、それなりの鍛錬と時間がいる。それにしても、友よ。どうしてこうも夜風というのは、痛い所に染みるのだろう。お前と語ったあの夜も、血が湧き立つほど痛かった。

 

2024.5.1

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