昨日、ある怖ろしい考えが一つ頭に浮かんだ。約7年つづけてきたこれまでのブログと、動画のいっさいを消してしまうことである。これは、過去の自分（記録した自分）が死に、燃やされることを意味する。つまり、死んで人々の記憶からも消えるということである。
数えきれない言葉のなかに、何度も救いを見出してきたが、同時に生み出した教条は、しがらみとして現在を縛ることにもなった。今、私自身がつまらない生き方をしているのも、大元のつまらない過去を引きずっているからである。そうした呪縛のすべてを消し去れば、とても爽快な気分でもう少しマシな人間になれるような気がしたのである。
過去に吸われていたエネルギーは、行き場を失い、現在にあふれ出すだろう。電脳空間に吸われていたエネルギーも、生身の世界にあふれ出すだろう。私は、昔の人間や時代への憧れが人一倍強いのは、彼らの人間らしい部分にある。検索できないから、分からないことは人に相談するしかないし、人がいなければ、最初から答えを求めることは諦めて、自分で試行錯誤するしかない。退屈なときはネットの娯楽もないから、空を眺めたり、詩をうたったり、書を嗜んだりする。悲しいときは、人に見られない所で静かに涙し、エネルギーのすべてはこの生身の世界に放たれるのである。恋の放射は月へと向かい、けっして画面に向かうものではない。
私はここで綴るなかで、自分というものを確立してきた。このブログは私にとって大切なものにちがいないが、「自分」だと思う大切なものこそ、もっとも手放すべきものなのかもしれないと思うのである。
だがしかし、今すぐ手放すということはしない。1000日の間に、適当な理由が生じてやめたくなることは想像していたし、これまでにも何度も起こってきたことである。440日を迎えた今は、むしろ辞めることのほうが勇気がいるようになってしまったが、初めにやると決めたら、どんなに無様になろうとやり抜かねばならないと感じているのだ。
まさにこれこそ現在を縛る、過去の教条であるのだが。こうしたつまらないしがらみを、笑って踏み破れる悪の力があれば。
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