「うるせえ、ふざけんな」と抗う選択肢だって俺達にはあるんだぜ。[602/1000]
社会に慣れ親しむほど、雄々しさを放棄してしまうことがある。権力者に首を差し出せと言われて、素直に首を差し出すやつがいれば、保守的な人間は立派な忠義だと褒め称えるかもしれない。だが、「うるせえ、ふざけんな」と抗う選択肢だっ…
社会に慣れ親しむほど、雄々しさを放棄してしまうことがある。権力者に首を差し出せと言われて、素直に首を差し出すやつがいれば、保守的な人間は立派な忠義だと褒め称えるかもしれない。だが、「うるせえ、ふざけんな」と抗う選択肢だっ…
「女々しい」とは、男に対して用いられる言葉である。女に対しては、女々しいとは言わない。だが、女が女々しいというわけでもない。男には男なりの雄々しさがあり、女には女なりの雄々しさがある。だが、男には「男になる」という言葉が…
どうして僕はこんなにかなしいのだろう。僕はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。あすこの岸のずうっと向こうにまるでけむりのような小さな青い火が見える。あれはほんとうにしずかでつめたい。僕はあれをよく見てこ…
生活の深みにはまるほど、抜け出すために相応の力が必要になる。例えば、1週間引きこもってしまうと「このままではいけない」という健全なる社会性によって、彼は沼から引き出される。だが、これが半年や1年になると、かつての社会性は…
インドへの旅が決まった。日本からデリーまで片道3万円だ。貧乏旅に慣れ親しんだ人にとっては、妥当な額に思われようが、貧乏旅を知らない人からしてみれば、「そんなに安く行けるのか」と驚く金額であろう。 旅に際して、大半の日本人…
何の気持ちの整理もつかないまま、インド行きの航空券を買った。気持ちが整理されるのを待てはしなかった。よし、旅に行こう!と思い立った勢いで、力強く旅立つ力を失いつつあったからだ。これ以上待てば、旅立つ力が完全に失われてしま…
淡い空泳ぐ、金色の雲。群れをはぐれた、小鳥の鳴き声。冷たい風を羽ばたいて、どこまでも飛んでいく。 生きることはどうしてこうも哀しいのだろう。分かっている。センチメンタルな言葉はお預けだと約束しただろう。冬を耐え忍ぶ木の葉…
私が都会に抱いた初めての印象は、人に対する関心のないことであった。おびただしい人の数が、街の通りを歩いている。中にはティッシュを配ったり、病気の我が子のために看板を自作して募金に励む人もいる。マイクを口に当てて政治活動を…
生きることは夢のようなものだという。夢とは、神が時空に零す記憶の涙である。空の遥か彼方からやってきて、風のように知らぬ地へ去っていくものである。少年期の冒険も、青年期の野望も、壮年期の苦悶も、老年期の叡智も、すべて優しい…
世間の目は騙せても、己の目は誤魔化せない。己の聡明な目だけが、己のうちに存在する神を知る。ゆえに、神を忘れるために馬鹿になる。己を欺くことに対する罪悪とは、自分のために生じるものではない。神を欺いていると自覚するから、罪…