人間は自分よりも大きなものにしか命を擲つことができない、いい意味で、傲慢な存在ではないだろうか。[475/1000]
大分寒くなってきたが、ちゃんと暖はとっているか。ちゃんと湯船に浸かっているか。ちゃんと温かいものを食べてるか。 私のほうは最近、熱々の玄米がゆを食べることで、湯船に浸かるに匹敵するほどの熱量を獲得できること…
大分寒くなってきたが、ちゃんと暖はとっているか。ちゃんと湯船に浸かっているか。ちゃんと温かいものを食べてるか。 私のほうは最近、熱々の玄米がゆを食べることで、湯船に浸かるに匹敵するほどの熱量を獲得できること…
人生に「美」を見出さずにいられない人間は、その中心に「神」を据え、平坦な虚ろを貫いて猛々しく立ち上がることに憧れる。それが人間のみに与えられた宇宙の神秘だと信じるからである。そして、これこそが、意味のないと言われる虚ろな…
異常なほどの寂しさは、まっとうに人間をやっている証である。老いと死の風に無防備に晒されて、ただそこに、佇んでいるのである。凍えた魂を温めるのは、炎々と燃える太陽の役目だ。日没が寂しいのは、太陽が去ってしまうからである。夜…
人間という大きなものを継承して生きている。魂をそこなうよりは、肉体を十ぺん滅ぼす覚悟で生きた人間たちによって、欲望の地に埋没することなく、魂という財産は今日に受け継がれてきたのだ。書物を読めば、命懸けで魂を死守してきた人…
世間体を気にする親を疎ましがったことのある人間は少なくない。しかし、人様に恥ずかしくない生き方をするために己の襟を正したのが、名誉を重んじた日本人のやり方であった。魂が浮薄し、精神を失った今日では、世間体は沈殿した道徳の…
失ってはじめて大切なものだったと気づく。それが愛情であったのなら、なおさらのことである。突然の別れに気持ちの整理もつかぬまま、しかし、これでいいと本当は知っているのである。傷んだ心は放り出したまま、不器用に笑ってみせて、…
現代、虚無に苦しむ人間は少なくない。私もその一人で、20代の間は虚無を宿敵として生きてきた。生きることの虚ろに耐えきれず、情けない時間も長く過ごした。しかし、それでも虚無を突き破ろうと、見苦しくも抗いつづけるうちに、つい…
命の花がしぼんで枯れ落ちていく。老いと死の風に無防備に晒されて、寂しさとはただそこにたたずむものである。 森の暮らしに寂しさはあっても虚無はない。しかし、寂しさのためか、つい火を灯して、炎のなかに安らぎをみつけたくなる。…
森の家で過ごすこと2日目、夜中にふと目が覚める。窓の外は深い闇に包まれて何も見えないはずなのだが、なぜだか薄っすら木々が見える。はて、さては月のしわざだなと思い、足元を照らすランタンを片手にとって、夜の森に飛び出していく…
森の家で初めての夜を迎えた。とても寂しく、怖ろしい夜だったが、蝋燭に照らされた部屋は、夢心地のするほど美しく、霊妙さを感じられるものだった。自画自賛というわけではないが、改めてとんでもないものをつくってしまったとひとり感…