朝陽が昇りはじめてから、夜眠るまで、途切れることのない永遠の孤独へ帰っていこう。虚偽はなし、欺瞞もなし。後ろめたいことも何もなし。わが魂を散々苦しめた地上の鎖は引き裂かれ、空腹となった胃袋の底へ流体と化したエネルギーが流れ込んでくる。ああ、私は今、自由へ踏み出した魂の盛大な歓喜に包まれている。朝陽への誓い、神との約束を、もう裏切る真似はしなくてもいいのだ。
いかにも、無気力の根は慣習に降りていく。悪癖は力を飼いならし、高貴な意志であるほど屈辱感を与える。たしかに、力及ばぬ自己を責め立てたくなるものだが、手懐けられているのなら仕方あるまい。悪しき慣習があるかぎり、たとえ新たな機会を得たとしても、病根はどこまでも這って追いかけてくる。見れば、力は無気力に追われ、疲弊していることがよく分かる。気を抜いた途端、無気力に食われるのはそのためだ。
無気力に力を食わせてやるのではなく、力によって無気力をも食らってしまわねばならぬ。それが力の信仰である。日頃、鍛錬するのは力を誇りとし、無力を恥とするからだ。力は雪だるまのように大きくなる。小さく転がし、少しずつ大きくし、ある一点で一気に覆す。慣習まるごと、無気力すらも食らってしまえば、力は全体と一致する。人間を分離する肉体と魂の、涙溢るる邂逅となる。
2025.2.9