胸高直径40センチのアカマツの抜根作業も今日で三日目となる。果てしなく思われたが、スコップで地道に土を掘り起こす一杯の積み重ねで、ようやくあと少しのところまできた。人力ではできないと言われることも、重機のない昔の人間は当たり前にやっていた。いまわれわれれが暮らしている町も、先代の人間が伐採、抜根し、地道に開拓したものだ。それを思えば、力も湧いてくる。
道具があることが当たり前になると、道具がないとできないと思うようになる。電車や車が当たり前となった現代人の感覚からすれば、九州南部から江戸まで50日かけた薩摩藩の参勤交代は信じられないだろう。だが、時代は変わっても、おれたちは同じ人間だ。常識は変わっても、肉体は変わらない。精神だって負けてなるものか。原理的に不可能ではなければ、やれるはずである。家だって建てられる。2,3日食わずとも生きていける。
道具がないことも、金がないことも、時間がないことも言い訳にはならない。そんなものは、いつまでも足りず、いつでも満ちている。おれたちの唯一の武器は、負けん気だけだ。辛抱強く、腐らずに、何度もぶつかっていくことだけだ。それを今やるということだ。宇宙に飲み込まれるままに。
2024.8.27
コメントを残す