人間のすることに理屈はどうにでもつく。だがすべて嘘である。何を考えるかではなく、何をするか或いはしないかで男の評価はきまる。杢之助はそう云っているのだ。
隆慶一郎, 「死ぬことと見つけたり」
止まりさえしなければ、ゆっくりでも進めばよいと、孔子は言う。ぎゃーてーぎゃーて、往け!往け!と、般若心経は言う。進め、進め、不浄なる血で耕地を染めあげよ!と、フランス国歌、ラ・マルセイエーズは言う。家が焼けても新しい家が建つからいいだろう、進め進めと、武者小路実篤は言う。理屈は楽なほうの味方をする。動かないと気づけば頭でっかちになる。そんなとき、生命を無鉄砲に曝け出し、突進する猪に憧れる。小賢しい頭を一度棒切れで殴打し、現世を縦横に駆けまわれたらと願う。明日、1年ぶりの仕事だ。さあ、命のまま、往こう。
2024.7.15
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