死する道におゐては、武士斗(ばかり)にかぎらず、出家にても、女にても、百姓已下(いか)に至る迄、義理をしり、恥をおもひ、死する所を思ひきる事は、其差別なきもの也。
宮本武蔵「五輪書」
時代が変わり世相が移ろうても、大事なことは何も変わらない。強風に屈しない山嶽の古木のように、流行りの甘言に惑わされず、科学の幻想に酔い痴れず、哀愁誘う古い方角へ、先人の残した孤独の道を、沈黙のまま辿ってゆこう。魂が弱まれば、孤独は脆弱になる。死する道を望むのだ。自然を友とし、書物に服し、獣を狩ってこの命の糧としよう。大事なことだ、繰り返そう。全裸のこの身に残るは詩の心だけだ。風が吹くかぎり、魂は枯れない。
2024.6.25
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