手にした幸福が倦怠と幻滅を繰り返すうち心は絶望を深め忘却に寄りかかる[722/1000]

「わたしはもうとっくに幸福などを求めなくなった。わたしが求めているのは、わたしの仕事だ」

(略)

「わたしの幸福はが重いものだということは、おまえたちにもわかっているはずだ。わたしの幸福は流れる波のようなものではないそれはわたしに迫ってきて、離れたがらない。」

ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」

この世の未練を捨てきれぬ隠者に惨悴は深まる。手にした幸福が倦怠と幻滅を繰り返すうち、心は絶望を深め忘却に寄りかかる。幸福では満たし切れぬ部分、血に渇く魂は、無意識に求める幸福がいかに人間を惨めにするものか熟知する。なぜ男は女々しくなるのか。幸福だの愛だのそんなものを気にする暇はない。永遠に殉ずる己の仕事の他にこの身はどうして救われよう。

 

2024.6.10

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