かれらの道も、まことに暗い道だ。希望の稲妻ひとつ、もはやひらめかない!
まだ光っているのは―商人の手にある黄金だけだということろでは、商人が支配するのが当然だ!もはや王侯の時代ではない。きょう日、国民と名のっているものは、王侯をいただくに値いしない。
ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」
残り火は小さい。希望の一つも閃かぬ。肉体は絶望に砕けた意志を支えきることができず、行き場を失うと停滞を装うようになる。笑う事は生きんとする意志を激励する数少ない手立てであった。笑いは意志を虚無から救い出す。それにしても、笑いが道化に堕ちるとは…。偉大な虚無と素朴な笑いの生誕を俺は振り返る。陽が落ちて森は闇に暮れ、陽が昇り森は彩に踊りをはじめる。日に日に膨れる蕾はついに赤い花を咲かせた。自然が陽気を装うかぎり、俺たちは笑っていよう。
2024.6.9
コメントを残す