太陽め、お前は苦しめる。[683/1000]

秋だ。俺たちの舟は、動かぬ霧の中を、纜を解いて、悲惨の港を目指し、焔と泥のしみついた空を負う巨きな街を目指して舳先をまわす。ああ、腐った襤褸、雨にうたれたパン、泥酔よ、俺を磔刑にした幾千の愛欲よ。

ランボオ「地獄の季節」

太陽め、お前は苦しめる。雲一つない澄み渡る晴天で、無信仰の内臓は抉られる。かつて俺は、雲のない日を畏れ、荒れ狂う嵐に安堵した。絶望を記憶の沼に沈めておくには太陽から逃れる必要があった。光の届かない深く深くへ。森の隠者は真逆である。彼は落雷と倒木が今にも幽居を打ち壊さそうとすることを案じて、ずぶ濡れになりながら屋根を補強した。だが、隠者もまた太陽を畏れた。彼は木陰を愛し、木漏れ日のなかで密かに太陽を拝んだ。これを智慧というにはあまりにも弱い。ああ、太陽よ、どうかご慈悲を。これ以上、罪の傷跡を抉らないでくれ。

 

2024.5.2

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