この身の穢れが洗われるとしたら砂漠の果てに斃れることだった。[675/1000]

俺は旅をして、この脳髄の上に集まり寄った様々な呪縛を、祓ってしまわねばならなかった。俺は海を愛した。この身の穢れを洗ってくれるものがあったなら、海だったに相違いない。

ランボオ「地獄の季節」

熱狂は去った。雲は消え失せ、晴天を冷やす黒渦が、悴れた心を呑む。俺は旅を欲した。この世の生を忘れるために。放縦と放埓のまま、俺の関心はすべて「死」に注がれた。ゆえに、旅はいつも生活を捨て、何もない「果て」を欲した。堕落が女々しいなど百も承知だ。だがほんの一握りを除けば、あらゆる存在は女々しさを抱えているではないか。生活は女々しい。職業も女々しい。物質も女々しい。この身の穢れが洗われるとしたら、砂漠の果てに斃れることだった。降り注ぐ雨に身を洗うことだった。

 

2024.4.24

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