哀しい夜に救われる。[950/1000]
幼子は母に言う パンはどこ、ぶどう酒はどこ、と。 都の広場で傷つき、衰えて 母のふところに抱かれ、息絶えてゆく。 哀歌 2.12 日が沈み、夜が森を覆った。 無邪気な小鳥たちは、身を潜め、気配を消して、 光…
幼子は母に言う パンはどこ、ぶどう酒はどこ、と。 都の広場で傷つき、衰えて 母のふところに抱かれ、息絶えてゆく。 哀歌 2.12 日が沈み、夜が森を覆った。 無邪気な小鳥たちは、身を潜め、気配を消して、 光…
優しい言葉のすべてが偽りだとは言うまい。だが、甘言が無力と敗北から発するときは、どこか自己欺瞞の香りがする。無力による敗北を屈辱とするのは、何も間違ったことではない。屈辱に虐げられる時間は苦痛に満ちるが、敗北したとて気高…
「人の知恵は顔に光を添え、固い顔も和らげる。」賢者のように、この言葉の解釈ができるのは誰か。 それは、わたしだ。すなわち、王の言葉を守れ、神に対する近いと同様に。気短に王の前を立ち去ろうとするな。不快なことに固執するな。…
冬至から一月ばかり経ち、段々と日の長さを感じられるようになってきた。まだ朝晩は氷点下と冷え込むが、日中はプラスに転じる日も増えてきて、薄っすらとであるが、春の兆しを感じられるようになってきた。日中の暖かい陽の下で動いてい…
さよなら。足枷は解かれ、疲れた骨身が安らぎ眠る。 孤独に怯えることも、苦痛を堪えることもなく、 盗られることも、飢えることも、 失うことも、凍えることもなく、 罪を知らない世界の眠りは、子どものように、無邪気な夢を見る。…
わが兄弟よ、あなたがひとつの徳を持ち、それがあなた自身の徳であるなら、それは他の何びととも共有すべき性質のものではない筈だ。 名前をつければ、それは民衆と共通のものとなり、あなたはあたなの徳を持ちながら、民衆となり畜群と…
おれは早く魂を解放してやりたいよ。肉体の奥底に閉じこめられ、四六時中苦しむ叫びが、今もありありと聞こえてくる。臓腑を蹴り、脳髄を錯乱させ、背骨をへし折らんとする勢いで。鎖に繋がれた猛獣が死に抗うときのように、日の出から日…
一人で生き、一人で死ぬ覚悟がなければ、魂と信念を貫き通すことはできぬ。そう生きたいと願っても、願うばかりで覚悟がなければ、どこかで必ず現世に迎合する。たちまち肉体は物質観に取り込まれ、絶対的な信条は崩れ去る。保守を謳う政…
実家で捨てられるところだった窓をもらい受けた。ガラスをハンマーで叩き割り、寸法に合わせて窓をカットし、家の背面に取り付けた。割ったガラスの代わりには、アクリル板を張り付ける予定だ。 窓枠に対して窓の寸法をぴったしにすると…
おお、わたしの友だちよ!認識者として、わたしは言おう。羞恥、羞恥、羞恥―これが人間の歴史なのだ! だから高貴な者は、ひとに羞しい思いをさせないようにする。また、すべて苦しみ悩む者を見ると、自分自身が羞恥を感じるように努め…