嫌々働くことは半矢のために血を流しながら逃げる鹿と同じだ[766/1000]
人は自己から離れる瞬間に苦痛をおぼえるが、同時に同等の、もしくはそれ以上の深い安堵を得る。なぜなら、自己から離れなければ、自己の内に溺れ、心が病気になることを知っているからだ。働きすぎで心を病む人間もいるが、ほんとうに健…
人は自己から離れる瞬間に苦痛をおぼえるが、同時に同等の、もしくはそれ以上の深い安堵を得る。なぜなら、自己から離れなければ、自己の内に溺れ、心が病気になることを知っているからだ。働きすぎで心を病む人間もいるが、ほんとうに健…
俺は巷にあふれる健康論に女々しさを見る。運動習慣がたいせつだとか、ストレスを抱え込みすぎないだとか、食生活に気をつけるだとか、いい睡眠をとるだとか、その大半はなんだか湿っぽい。少し科学をかじった者は、食品添加物や農薬、マ…
私は、社会の連帯感という市民道徳と、国への忠誠という道徳とを、いまはっきり分けないとえらいことになると思うんです。つまり日本では市民社会が成立しかけたといいますが、実際上はこの市民社会というのは、ヨーロッパの堕落した市民…
われわれが間接侵略に対処するのは、武器によってではない。われわれの魂によってです。魂がなければ、どんな武器を持とうが、も抜けのカラだ。スイスの民兵制度のように、市民が一定の期間訓練を受けて、いつでも立ち上れる用意をする―…
君子は中庸し、小人は中庸に反す。 君子の中庸たるや、君子よく時中す。 小人の中庸たるや、小人よく忌憚する無きなり、と。 孔子 畑で働いて数日。土砂ぶりのおかげで、車がよくぬかるみにはまる。ぬかるみにはまると、畑の男達は結…
私は生きるのに殆どお金がかからない。月に1万もあれば十分な生活をおくれる。一日一食で腹は満たされるので、食費は大してかからない。食事の内容にしても、茶碗一杯の玄米と、適当な野菜、たまに肉を食べれば十分満足できる。最近は、…
畑の仕事を始めた。夜明け前の朝3時、4時から、包丁でキャベツをひたすら刈穫っていく。初日はどしゃぶりだった。上下カッパと長靴で、ずぶ濡れになりながら、キャベツを収穫していく。なんとも農夫とは野性的だと感動した。 「日本国…
生活の中心には太陽がある。朝陽を浴びて目が醒める。陽が当たって野菜は育たつ。陽がなければ小屋は暗く、洗濯物も乾かなければ、薪が湿って火も焚けぬ。森の生活は不便だ。梅雨に入ってから愉しみの一つである布団干しもできない。森で…
昨冬、電源が壊れ、電子機器が使えなくなった。スマホもない、パソコンもない。森で隠遁する私の連絡手段は、車のエンジンでかろうじて充電できた携帯電話だけだった。これを一週間に一度だけ確認した。その他、外界との唯一のかかわりが…
人間のすることに理屈はどうにでもつく。だがすべて嘘である。何を考えるかではなく、何をするか或いはしないかで男の評価はきまる。杢之助はそう云っているのだ。 隆慶一郎, 「死ぬことと見つけたり」 止まりさえしなければ、ゆっく…