どうしようもないときはエネルギーを全放出する[831/1000]
栄養価は同じ野菜でも、盗んだ野菜を罪悪感を抱きながら食べるのと、親切におすそわけしてもらった野菜を気持ちよく食べるのとでは、肉体が吸収するエネルギーにも、質的な違いが生じそうである。 高級な料理は間違いなく美味であるが、…
栄養価は同じ野菜でも、盗んだ野菜を罪悪感を抱きながら食べるのと、親切におすそわけしてもらった野菜を気持ちよく食べるのとでは、肉体が吸収するエネルギーにも、質的な違いが生じそうである。 高級な料理は間違いなく美味であるが、…
秋の風がさらさら音を立てて、稲穂の上を流れていく。綿の野良着にわら帽子を被った婆ちゃんが、ちいさなちいさな腰を曲げて、手鎌で稲穂を刈り取っている。もし今日、現存する日本人の美しい姿を挙げるとしたら、婆ちゃんが田畑で働く姿…
大切なことだから、何度も書こう。私は授かった恩を返すことのほかに、生きんとする意志を燃やすすべを知らない。自分をたいせつにするだとか、自分のために生きるだとか、優しそうな言葉を鵜呑みにしたとき、色んな関係が不義理に沈み、…
嵐が去り、秋の風が吹き始めた。夏のひと仕事を終えた人間を労う慰安の季節だ。もしくは、街の喧噪から旅人を誘い出し、文化に親しみを抱かせてくれる、哀愁の季節でもある。寒さに思わず身を縮めてしまう早朝の空気は霊妙さを帯びはじめ…
「ご両親は何も言わないのですか」と聞かれると、とても不快な気持ちになる。森の中で風変りに生きていると、出会う人間によくこの質問を受ける。第一に「お前の両親は道徳観の欠けた無責任な人間なのか」と言われているようで、とても悲…
苦労苦労で死んでった、母ちゃん見てくれこの姿。 ヨイトマケの唄 無気力に苛まれる苦しみを知らないわけではない。だが、力によって生まれる苦しみのほうが、俺たちにとってずっと価値のあるものだ。「苦労」という言葉は前者には当て…
右耳を下にして寝ると、起きたときに右耳が聞えなくなる。しばらく時間が経つと、徐々に回復し聞こえるようになるのだが、もしかすると突発性難聴の可能性があることが分かり、耳鼻科にかかることにした。突発性難聴は、時間が経つにつれ…
人間はどこからかやって来て、一つの生活を見つけだす。できあいの生活。ただ人間はそのできあいの服に手を通せばよいのだ。しばらくすると、やがてこの世から去らねばならぬ。否応なしに出てゆかねばならぬ。 (中略) 昔は誰でも、果…
おれたちは力の存在だ。力を信仰し、力に導かれ、力そのものとして、生命を燃焼させていく。この世の不条理に、力強くぶつかっていく。難しいことは何も考えなくていい。なすべきことは、たったこれだけなのだ。 しかし、これが難しく思…
私は物質主義の世の中で窶れ果て、森の隠者となったと言っても過言ではない。人間とは何か、どう生きるべきかを問いながら、二十代はずっと砂漠を放浪していた。砂漠で斃れ、枯れ果てることによって、現代人として養われてきた物質主義観…