俺はインチキ教者になったことを心の底から恥じている。[669/1000]

歴史上、神の言葉を口にした者で、胡散臭くなかったものはどれほどいた。俺は、毎日一つ、枷を与えた。今日は手に、明日は足、それから首に。気づけば全身の筋肉の細部まで深く食い込み鬱血だらけとなった。完全に身動きが取れなくなる前に、この場を去った君は賢明だった。君は赦してくれるだろうか。俺はインチキ教者になったことを心の底から恥じている。教訓を垂れるのは俺の柄ではなかった。先生になるには、俺の口はあまりにも汚れすぎていた。

言葉は人を自由にする。断じて人間を縛り上げるためにあってはならんだろう。ああ、まさに今この瞬間、禁忌を犯す。己は今一度、胸の枷を外してしまおう。あらゆる教条。あらゆる道徳を。言葉を海に投げ捨て、もう一度、純粋な海水だけを喉に汲もう。

 

人間の事業、これが折々俺の深淵に光を放つ爆発だ。

「何一つ空しいものはない。科学へ、進め」近代の『伝道之書』が、というのはつまり誰も彼もが喚いている。だがやっぱり、根性曲りやのらくら者の死屍は、あとからあとから人々の胸の上に斃れてくる、

(中略)

俺にはこの世で何が出来る。俺は事業を知り抜いた。科学の足は遅すぎる。祈願は疾駆し、光は轟き、……それも俺には解っている。あんまりたわいがない、暑苦しい。

ランボオ「地獄の季節」

 

2024.4.18

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