人生は一行のボオドレエルにも若かない③[646/1000]

おお、「死」よ、老船長よ、時は来た!錨をあげよう!

僕らは退屈だ、この土地で、おお「死」よ!船出をしよう!

空と海、よしたとえ、インクのように黒くとも、

そなたが篤と知っている僕らの心は光明で一杯だ!

 

おお、「死」よ!そなたの毒を注ぎかけ、僕らに元気をつけてくれ!

この情炎のはげしさに、かり立てられて、

僕らは願う者なのだ、死の海の深間めがけて飛び込んで、

「地獄」も「天国」もかまわずに「未知」の底から新しさ探し出そうと!

 

ボードレール,「悪の華」

 

おお「生」よ、海の怪物。時を沈ませる、どろどろに溶けた鉛のように。

軋んだ船は音を立て、闇夜を裂いて舵をとる。波風のない不気味さに、気を許してなるものか。

見よ!水面を埋める夜光虫を。夜空に浮かぶ月の舟を。

まっとうに光るものだけが、僕の身体に英気を養う。

 

おお「生」よ、旅人の背を引き留める、寂しがり屋な怪物よ。

僕は君の死にゆく部分を愛した。時を泥底から解放し、自然の秩序に委ねるとこを。

老衰と別離を自覚して、哀しみの涙で頬を濡らすとこを。

「悪意」も「倦怠」も海に放り投げ、残ったすべての部分を一つ残らず噛締めよう。

 

2024.3.26

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です