森の家で初めての過ごした晩。深い闇に包まれて[466/1000]

森の家で初めての夜を迎えた。とても寂しく、怖ろしい夜だったが、蝋燭に照らされた部屋は、夢心地のするほど美しく、霊妙さを感じられるものだった。自画自賛というわけではないが、改めてとんでもないものをつくってしまったとひとり感動していた。

18時には完全な闇となる。陽がおちてしまえば、完全な闇となるのは、海や山をはじめ、自然界の掟である。自動車もなければ街頭もなく、近くに明かりを灯す家もないので、まるで深夜かと思うほどの深い闇を体験する。

闇のなかに燃える一本の蝋燭の炎は、息をのむほど美しく、この世のどんな宝石にも勝ると感じた。灯りをたよりに本を読むも、段々と短くなる蝋燭には心細さをおぼえるものがあり、昔の人間が灯りを惜しんで、満足に本も読めなかった話を思い出していた。

光を取り入れるために窓は5つ付けたが、まだカーテンがない。人に見られる恐しさは一切ないが、窓の外にそびえ立つ、荘厳な木々の畏しさに圧倒されそうになる。昼間にはあんなにやさしい木々も、風に揺れて葉が擦れる音も、夜になるとすべてが怖ろしくなるのである。いっさいの闇に包まれることほど、生命にとって怖ろしいことはないのだ。かつて、オーストラリアの山深くで野営したときに体験した、絶体絶命の怖ろしさを、少し思い出していた。今は闇の中とはいえ、家の中にいるのでまだ平常心でいられる。

薄明りのなかで過ごしているので、記憶がぼんやりとしているが、気づいたら寝ていた。そうして初めての森の家で晩を過ごしたのであるが、ああ、なんとも神秘的な夜だった、というのが初日の感想である。

もしここで蝋燭の灯りをたよりに、もしくは、寒さに身を寄せるように薪ストーブを囲んで、友と何かを語らうことがあれば、きっといい時間になるだろうと確信した晩でもあった。

家については、あちこちに空いている隙間から、風や虫が入ってくるので、そこを補修したい。あとは、カーテンをつければ、もう少し気持ち穏やかでいられるだろう。あとは、少しまだ寂しい感じもするので、壁に何かを飾りたい。寂しさを感じることは悪いことではないが、過ぎたるは猶及ばざるが如しである。

以上が、森の家で初めての晩を過ごした備忘録である。まだ生活機能には、不完全な所も多いが、もしこれをお読みの方でピンと来る方があれば、ぜひ遊びにいらしてくれると、大変嬉しいかぎりである。

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