己を生に縛りつけるものを一つずつ捨ててゆけ。
人間であることを忘れさせるような、
俗塵にまみれた快楽の虜になる肉体が嘆かわしい。
倦怠の正体は善人であるという悪魔のような発想も
いつしか鼓動となって心臓を病ませる。
破壊された秩序の割れ目から流れ入る
黒き液体に陶酔するこの生命は
新たな快楽の虜となり
少女の震えも突き放すだろう。
つくりものの死生観は
虚偽の生を華やかにするための装飾にすぎない。
美しい娘の涙に洗われて息を引き取ることを夢に見ながら、
荒れ果てた砂漠を木の杖一本で彷徨い
最後には干からびて死ぬ運命にある。
師の注意をひきたくて悪巧みをする少女のように、
多くの人間のやらかす悪行など神にとっては健気なものかもしれない。
天に忘れられて死ぬよりは
天に覚えてもらえる人間でありたい。
運命は沈黙したまま生命を飲み込む、
祈ることすら赦されなかった哀しい死も
天との関係にすべては包まれ、
宇宙の回転の一部となるのだろう。
コメントを残す