自然と自己がぶつかった亀裂、そこから生命が救済されるほど、おれたちは自由になるのだ。[959/1000]

仕事はいい。自我の歪みが正される。心の在り方が正される。汚れや染みは抜け落ち、黒く粗のあった心は、透明で純白な姿へ変わっていく。仕事は行である。滝に打たれることと似ている。肉体は苦しみに直面すると、心の奥底から煩悩を浮上させる。金をもらう対価として、苦痛は苦痛のまま受け入れられる。そうして一つ、業から自由となる。人間は自由に焦がれるが、その第一歩は、今日の労働である。占いやスピリチュアル、器用に脳髄を弄りまわすような、啓発思考に人間の自由があるのではない。人間の自由はもっと原始的で野蛮なものである。太陽が照っても負けじと働く。雪が吹雪いても辛抱して働く。自然と自己がぶつかった亀裂、そこから生命が救済されるほど、おれたちは自由となるのだ。

 

2025.2.4