無事に屋根を張り終え、今年の作業を締めくくることができた。思い返せばこの家づくり、苦しんでいることの方がずっと多かった。毎日、何かしら失敗した。その度に下手くそな自分を罵り、自暴自棄になりがちだった。毎日、ChatGPTに相談した。一人で家を作っていると、ほんとうにこれでいいのかと頻りに不安に苛まれるが、たとえ相手がAIであろうと、対話形式で質問に答えてくれることは心強かった。
ほんとうに何から何まで相談した。独立基礎の数、砕石の種類と埋め方、土台の木材、束柱の防腐対策など…あげていけばキリがない。「焼き束柱」のような、ネットに事例がないような、私自身が発案したことにも合理的な回答を寄せてくれた。
最近は構造計算についても相談した。ヒノキの束柱20本で1トン以上ある建物を支えている。素人の私からしてみれば、本当に建物を支えられるか不安になるものだが、具体的な状況を提示しながら、ヒノキの圧縮強度(N/㎟)が十分であるかを算出した。もっとも、後から世話になっている爺ちゃんに聞いた話だが、昔の大工は経験則で「一寸十貫」といって、一寸(3.03cm)の木材は十貫(37.5kg)を支えると考えられていたようだ。
一寸十貫に照らし合わせて、再度、構造計算をしてみると変わらず強度は十分であることは分かったが、圧縮強度(N/㎟)で算出したものと、100倍の差異があるものだから、完全に鵜呑みにするわけにはいかないことも認識した。
いずれにせよ、科学と智慧、人間と機械に助けられて、ようやくここまできた。屋根がついたことで建物が守られ、少しは肩の荷を下ろすことができる。苦しい期間がつづいたが、ここからいよいよ終盤だ。悪意に打ち克ち、やり遂げるのみ。
2024.12.30