変わらず家づくりをつづけている。外断熱をほどこし防水シートを被せた。その上に垂木を流し、いよいよ屋根材を張るところまできた。屋根を張ってしまえば、ひとまず建物が雨雪から守られるので安心できる。そこまで突っ走って、年の区切りとしたい。
簡単に見えるところでも、楽をさせてもらえることは少なく、必ずと言っていいほど全部の工程に難所がある。特に柱を前傾させてしまったために、それ以降、思わぬところで生じる微妙な差分に、何度も苦しめられてきた。これから屋根材を張っていく工程にしても、屋根材ごしに垂木にビスを命中させられるか自信がない。垂木の厚みは3センチ、ここを外せばビスはシートを貫通する。シートに穴があけば、防水シートを張った意味が薄れてしまうので、なるべく確実にやりたい。屋根は勾配があるので、屋根材が落ちないように支える必要もある。加えて高所の作業だ。一人でやることの限界を感じ、既に気苦労が絶えないのである。

いつも最後に解決するのは、手を動かすことだった。あらゆる可能性を想定するほど慎重になる。後々、泣かないためにも、確実な成功イメージを描けた状態で作業をすすめてきたが、石橋を叩きすぎても渡れなくなるばかりであった。考えすぎるほど気も身体も重くなり、取り越し苦労をして憂鬱となった。そんな状態のときは、つい問題を先送りにしがちだが、思い切ってやってしまえば、案外なんとかなっていった。坂口恭平さんが、鬱になるのは”手を動かしていないだけ”と言ったことが記憶に帰ってきた。
そういうわけで、今度の屋根もきっとなんとかなっていくだろうと、信じてやっていくしかない。8月からずっと戦っているよう。そろそろ決着をつけたい。
2024.12.26