セミの死を人は早いと哀れむが、われわれの命とてセミと如何ほど違うだろう。[746/1000]
梅雨も終わりかと思えば、今度はヒグラシが鳴きはじめた。五感では知覚できぬほどのゆっくりな速さで、季節は移ろい生命は老いていく。今からちょうど一年前、2023年7月にこの森にやってきた。仕事を辞めてまもなく、まずは倒木や雑…
梅雨も終わりかと思えば、今度はヒグラシが鳴きはじめた。五感では知覚できぬほどのゆっくりな速さで、季節は移ろい生命は老いていく。今からちょうど一年前、2023年7月にこの森にやってきた。仕事を辞めてまもなく、まずは倒木や雑…
すべての書かれたもののなかで、わたしが愛するのは、血で書かれたものだけだ。血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。 ニーチェ, 「ツァラトゥストラはこう言った」 科学は夜を駆った。この世…
雨が滝のように降りしきるなか、とても永い眠りについていた気がする。幸福な夢をよく見る。そうして目覚めると、きまって哀しい気持ちになる。この世もまた、夢の如く儚いものであるが、断片的で朧げな、辻褄の合わない夢と違って、意識…
俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて真理に行き着くだろうに。真理は俺たちを、泣いている天使らをつれて取り巻くであろう。 ランボオ「地獄の季節」 何のための精神か。何のため…
凡庸に生きて 愚にもつかぬ涙を恥じて 戦人の武勇を尊び 君子の教えを切に乞う 後生大事に抱えたこの身の 過ち悔いれば言葉を絶し 天の与うるを取ざれば 反ってその咎めを受く 2024.6.30
人間は、健康でも、運命でも、心が、それを、断然乗り超えて行くところに、生命の価値があるのだ! 中村天風「運命を拓く」 幾つになっても初心忘れるべからず。少年の夢と、青年の大志を。悪意を抱えてもよい。だが、悪意に屈してはな…
我を棄てて去る者は 昨日の日にして 留む可からず 我が心を乱す者は 今日の日にして 煩憂多し 長風 万里 週雁を送り 此に対して 以って高楼に酣なる可し 李白 悪意に屈せず、耐え忍び、凝縮し、…
人、道を問うに答うる 飢え来って飯を喫し、倦み来って眠る 只此の修行、玄更に玄 世人に説与するも渾べて信ぜす 却って身外に従って神仙を覓む 王陽明 殺生を怖れ、猟師を断念すれば、己は生涯、生きんとする意志を…
余に問う 何の意あってか碧山に棲むと 笑って答えず 心自ずから閑なり 桃花 流水 ヨウゼンとして去る 別に天地の人間に非ざる有り 李白 旧冬、私は森に身を隠した。書物を友とし、自然を愉しみ、世俗の関心ごとの…
死する道におゐては、武士斗(ばかり)にかぎらず、出家にても、女にても、百姓已下(いか)に至る迄、義理をしり、恥をおもひ、死する所を思ひきる事は、其差別なきもの也。 宮本武蔵「五輪書」 時代が変わり世相が移ろうても、大事な…