男は基本、捨て身でいい。[846/1000]
労働にいそしむ日がつづく。森の家づくりも基礎工事にはいった。穴掘り、砕石運び、転圧、家づくりのなかで最も過酷な場面である。玄米と野菜、それから肉をしっかり食って精を養う。肉体労働者にとって食事は命である。一日一食しか食わ…
労働にいそしむ日がつづく。森の家づくりも基礎工事にはいった。穴掘り、砕石運び、転圧、家づくりのなかで最も過酷な場面である。玄米と野菜、それから肉をしっかり食って精を養う。肉体労働者にとって食事は命である。一日一食しか食わ…
哀しみが宇宙にこだまする。そのすぐ下を、ひとの笑いが颯爽と駆け抜ける。他愛もない友との会話も、せんじ詰めれば、われらの故郷に想いを馳せるためにある。現世で遭遇した光の数々と、脳髄の記憶が流れゆく先に。可笑しな日常を笑い合…
森に珍客が訪れる。木霊が静まり返る闇に、一点の火が灯った。火を囲って踊ろうか。酒を飲んで語ろうか。たいそうな肉をご馳走になり、痩せ細った身体は久々の糧をえる。 おれたちは何に酔い痴れる。自然を克服したことを自らに言い聞か…
秋がきたと思えば、もう冬が近づいている。寒い思いをすることが増えると、温かい家をもつ人間が、心底羨ましくてしかたがない。温かい味噌汁とご飯を作って、妻が帰りを待っている男が、羨ましくてしかたがない。子どもたちと一緒に湯船…
つめたい秋雨がつづく。カッパを通りこして全身びしょ濡れになる。寒さで感覚がおぼつかない手で包丁を握り、夜明け前の闇にむかってブロッコリーを収穫していく。心が弱気になりそうになるときは「麦と兵隊」を歌う。死地に向かって、道…
学校における、子どもの高貴とは何だ。先生に言われたことに素直に従うことか。不平不満を垂らしながら反発することか。世界の不条理に直面したとき、愚痴をこぼしたくなるのは大人になっても同じだ。だが、表面上は真っすぐ従いながらも…
森の小屋づくりをはじめた。遣り方といって、小屋を建てる外周に杭を打ち込み、バケツとホースを使って水平を出し、貫板を張って、水糸で直角を出した。これにより、傾斜のある森の一角に、うつくしい水平面が誕生した。 一つの点を基準…
冷たい秋雨に打たれながら、闇に潜ってブロッコリーを穫っている。手が冷たくて痺れる。服が下まで濡れて、身体が芯から冷えている。セテムブリーニ氏だったら、これを人間の屈辱だと憤るだろう。身体が冷えてどうしようもなくなると泣け…
人から借りたものはちゃんと返すことを子供のころに教わる。落し物は交番に届けることを子供のころに教わる。人様のものは人様のもとへ。神様のものは神様のもとへ。こうした信義誠実な国民性が、目に見えない恩の貸し借りの、文化の礎と…
死にたいかと問われ、死にたいと答える者などいるものか。生きたい。生きたいが、死んで救われるものもあるということだ。国のために散っていった特攻青年たちは生きたいと強く願っただろう。そうでなくては。家族を愛し、この世のすべて…