悩みなどなく、戦いがあるだけである。[960/1000]
冬が猛り狂っている。今日から一週間、氷点下10度の日がつづく。積雪もあり、森に完全に閉じこめられた。家はおおむね完成しているが、薪ストーブが届かない。あと一週間、工程が早く進んでいれば、暖かい炎に身を包みながら、窓から白…
冬が猛り狂っている。今日から一週間、氷点下10度の日がつづく。積雪もあり、森に完全に閉じこめられた。家はおおむね完成しているが、薪ストーブが届かない。あと一週間、工程が早く進んでいれば、暖かい炎に身を包みながら、窓から白…
仕事はいい。自我の歪みが正される。心の在り方が正される。汚れや染みは抜け落ち、黒く粗のあった心は、透明で純白な姿へ変わっていく。仕事は行である。滝に打たれることと似ている。肉体は苦しみに直面すると、心の奥底から煩悩を浮上…
言うなかれ 君よ 別れを 世の常を また生き死にを 海ばらのはるけき果てに 今や はた何をか言はん 熱き血を捧ぐる者の 大いなる胸を叩けよ 満月を盃にくだきて 暫し ただ酔ひて勢へよ わが征く…
なにゆえ、黄金は光を失い 純金はさげすまれているのか。 どの街角にも 聖所の意志が打ち捨てられているのか。 剣に貫かれて死んだ者は 飢えに貫かれた者より幸いだ。 刺し貫かれて血を流す方が 畑の実りを失うより…
サワラの木を脚にして机をつくった。サワラの木は水に強いが柔らかく、構造材には向いていない。柔らかく曲げやすい特性から、主に桶に活用されてきた。構造材として使われる杉やヒノキほど有名ではないが、同じヒノキ科であり、真っすぐ…
言葉選びの才もなければ、物をつくることに長けるわけでもない。絵も歌も踊りも並以下だ。それでも命は芸術に死なせてくれと、日々咆哮しつづけている。この命を扱えるほど、自分という存在は優れていない。己にできることは、自分よりも…
「一寸千貫」という言葉がある。一寸角(3.3cm)の木材は千貫(3,750kg)の重みに耐えられるという意味だ。ただし、柱は真っすぐ立っていなければならない。少しでも傾いてれば、力を正しく受けきることができなくなる。 &…
未知を怖れる臆病な心、生に固執する貧相な魂が、地上の概念、型にはめられた正解や常識に縋りつき、安心を得ようとする。この度、家をつくるにあたって、一から十まで調べたが、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいという意見はきり…
無事、扉がついた。厚さ3センチの杉板を四枚並べ、それぞれを繋ぎ合わせるために、同じ3センチ厚の杉板をZを反転させた形で、上から通した。ビスは表と裏、両方から打ってある。板は雄雌のあるカフェ板を使っているので、板同士のかか…
誕生日を迎え三十一となった。特別、何か祝うようなことはしない。ただ、半年近くやってきた家づくりが、残すところ扉だけとなったので、積日の労を労うためにも、なんとか今日完成させられないかと、日没まで追い込み作業した。 扉はつ…