大引きがみごとにはまった。土台側に欠きをつくっただけの単純な継ぎ手だが、一つの構造物を完成させられたようで嬉しくなる。これで土台の骨格は完成した。あとは、水平方向の歪みを防ぐために、火打ち梁を通すかどうか。剛床工法なら無くても問題ないが、合板は使わず、直接杉板をとおす予定なので、やれるならやったほうがいいはずだ。妥協できるところは妥協したいが、ここまで苦労したのだと思うと、肝心なところを蔑ろにするのは勿体ない。金は余計にかかっていくが、その分はまた働けばよい。
気づけば、落葉も終わりを迎えた。森はいっそう淋しくなる。ここのところふとした拍子に、―たとえば川に洗い物をするために森の小道を歩いているときに―目の前の枯れ落ちた現実が急に永遠と結びついて、とても悲しい気持ちになる。冬は一年で最も高貴な季節である。己が孤独な存在であることを、いやおうなしに分からせられるようだ。せめて、温かい炎があれば。ああ、はやく家を完成させたい。
2024.11.22