人間的努力、人間的誠実さ。[870/1000]

悪意に負けそうになるところ、ぎりぎりのところを踏ん張って。苦労を物ともせず、耐え忍び。世に蔓延る無気力と、悪意の波を吹き飛ばし。力強く、愚直に乗り越えていく人間に、世界は自ずと味方するようだ。考えてみれば、当然である。苦労を乗り越えて、力強く生きようとする人間には、内に秘められた”人間的努力”や”人間的誠実さ”から滲み出る人相があるのだろう。力強く、真っすぐ正直で、その健気さに、どこか可愛い気があるのかもしれない。

 

手前味噌ではあるが、私もまたこの数ヵ月、畑で働きはじめてからというもの、不思議なご縁が増えた。足の怪我で世話になった病院では、医療費をまけてもらったり、何度も食料を分け与えてもらうようになった。ぬかるみにはまった車を助けたことをきっかけに、お医者さん夫婦と懇意になり、食事に呼んでもらえるようになり、別の近所の人間からは、森の家づくりに役立てるよう、発電機や電動工具をいただいた。つい先日は、森に偶然、散歩にきた老夫婦から大量の干し柿をいただく。

何かをもらう度に、適当なものをお返しにいくが、たいそうなものは何も持ちあわせていない。申し訳ない気持ちになりながら、恩のために生きねばと思いを強くする。

 

結局、私の言いたいことは、いかなるときも力を信じることである。寒くなり、疲れ果てると、悪意に気圧されそうになる。毎日、毎日、必ずそういう瞬間がやってくる。だが、負けてはならぬ。腐ってはならぬ。相手の力より、ほんの少し、気概を紡ぎ出せば、乗り越えて行けるのだ。その人間的努力を怠ってはならぬ。さあ、進め進め。

 

2024.11.6