人間の心は、堕落にずっと浸かっていられるほど、強くはできていない。[750/1000]

この俺、かつてはみずから全道徳を免除された道士とも天使とも思った俺が、今、務めを捜そうと、この粗々しい現実を抱きしめようと、土に還る。百姓だ。

俺は誑かされているのだろうか。俺にとって、慈愛とは死の姉妹であろうか。

ランボオ「地獄の季節」

人間の心は、堕落にずっと浸かっていられるほど、強くはできていない。堕落した者は、まるで犯罪者のごとく、世間から追放され、虐げられるような深い孤独を味わう。罪を犯した人間のニュースを見れば、自分はあちら側の人間だと思うようになる。平和で幸福な場所に赴けば、自分はここに相応しくないと思うようになる。心は荒み、身は窶れ、気づけば形相までもが、犯罪者のそれに似通っていく。そうして人は本当に罪に踏み込んでいくのだとしたら、彼らはなんと救われないだろう。彼らはただ、深い涙の谷底で、清らかな光に飢えていただけかもしれないのに。罪人はつまらない。法によって裁かれる。だが、幸福に腹包みを打つ善人を思えば、彼らに人間と言えるものはなかっただろうか。ついに俺たちは、武士道を編み出さずにはいられない。それがこの世で善悪を弁える唯一の道だ。

 

2024.7.8

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です