この現実を力強く夢のように生きるのだ。[744/1000]

雨が滝のように降りしきるなか、とても永い眠りについていた気がする。幸福な夢をよく見る。そうして目覚めると、きまって哀しい気持ちになる。この世もまた、夢の如く儚いものであるが、断片的で朧げな、辻褄の合わない夢と違って、意識が明瞭で、記憶に連続性があるがゆえに「現実」と呼ぶ。少しばかり今度は、記憶と記憶の間に、実際以上の距離がある気がした。そんなことはどうでもいいのだけれど、森の孤独に目覚めてみると、眠りとともにある幸福が、一層かけがえのないものに思えるのである。夢のなかで師と友と語り合うと、孤独な日々にどれだけの価値があるのか分からなくなる。ああ、もう惨めったらしい語りはやめよう。俺たちはこの現実を力強く、夢のように生きるのだ。

 

2024.7.2

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