旅路の労苦の涙を拭えよ。[736/1000]

俺の精神よ、気をつけろ。過激な救いにくみするな、鍛錬を積む事だ。―ああ、科学は俺たちの眼にはまだるっこい。

俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて真理に行き着くだろうに。

ランボオ「地獄の季節」

運命を切り離し、我が物へと成り下がる時間の混濁で何を想おう。過ぎゆく風が嘲るのを見て、虚無にあえぐ傲慢を知った。皎皎冽冽たる武士、特攻隊青年らが交わしたあの世の約束を想えば、この身の自由すら陳腐で汚らわしいものに思われてくる。魂にのしかかる高尚な重力、きよらかな導きに従って、この身の淪落を案ずる前に、旅路の労苦の涙を拭えよ。宿命に軽口は叩くまい。憧れに殉ずるのみ。

 

2024.6.24

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